今、シラフが一番だと心から思っている著者、天鼠(てんそ)です。
なのになぜ…時間が経つとその思いが薄れていくのでしょうか。お酒に幻想を見てしまうんです。
上を向いてアルコール
今、こんな本を読んでいます。
元アル中のコラムニストが書いた本です。
アルコール依存を治療する側の人が書いた本は合理的です。でも理詰めで読みにくく、腑に落ちない部分が多いんです。
と言いたくなる部分がチラホラあります。
しかしアルコール依存症者の言葉は、ストレートに抵抗なく心に入ります。実際の体験談をまじえたアル中の言葉は、わかりやすい表現でアル中の生態を的確にとらえています。
上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白 [ 小田嶋隆 ] 価格:1,650円 |
何で思うようにいかないの
なぜ過去の悪い記憶ばかりが、頭の中で幅をきかせるんでしょう。忘れたいのに、思い出したくもないのに。
それは同じ過ちを犯さないためかもしれません。
楽しかったことはすぐ忘れてしまうんです。そんなこと無かったかのように。私だけでしょうか?
苦しいときは悪い思い出が、楽しいときは良い思い出が優勢になるのかもしれません。
これは幸せですか?
記憶が無くなるまでお酒を飲むのは幸せですか。お金払ったかなぁ?どうやって帰って来たのかなぁ?誰かに迷惑かけてないかなぁ?
口から入れたモノを吐き出して幸せですか。ゲロでスニーカーが汚れるし。ゲロでズボンが汚れるし。どこで吐いたか覚えてないし。
ブラックアウトしても、唯一記憶に残っていることがあるんです。それは自分が嘔吐する音です。不思議ですね。
飲み過ぎた翌日は寝たきり。ベッドの上で記憶の無い部分を推理、検証するんです。
デビッドカードの履歴を見れば、店を出た時間、タクシーで帰宅した時間が分かります。便利ですね。
「無事帰れた?」とホステスからのメッセージを確認します。ホステスを怒らせていない。自分の足で歩いていた。そんなところでしょうか。
フローリングに脱ぎ捨てたスウェットパンツの裾に、嘔吐物が少々飛び散っている。歩きながら吐いた証拠である。そして飛び散っているということは、硬いアスファルトに吐いたことがうかがえる。
お嘔吐物の色が赤い。もしや吐血?いや違う。昨日は赤ワインと、ビーフジャーキー盛り合わせを食べていたからだ。薄っすら記憶が残っている。
だからシラフが一番
シラフが一番だと自分でも分かっているのに。どうしてもお酒の幻想から逃れられない。お酒を飲むと普段はできないことができると感じる。楽しく人と話せるんです。
それをシラフでできるようにならないかなぁ…。お酒を飲まなくても自分を出せるように。なんかわからんけど、できるように試してみるね。
元アル中のコラムニストさんにたくさんいい言葉をもらって、「自分だって」という気持ちになっています。