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ベトナム女子にフラれて落ち込んでいる私です。仕事が手につきません。そんな私の異変に気が付いた人間が職場にただ一人いました。感激してうっかり泣きそうになりました。そんな話です。
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どんな事情があっても直接会って告白しよう
「捨てる神あれば拾う神あり」とは、
非情に見捨てる人がいる一方で、思いがけず助けてくれる人もいること。
暗闇から光
昼休みの暗い工場内を一人でフラフラ歩いています。なんで歩いていたのか?よくは覚えていません。失恋の傷は思ったより深いのです。
そんな私を見かねて声を掛けた人がいました。声の方に顔を向けると、彼女は心配そうな顔をして立っていました。
彼女は昼食を食べない私に「何でお昼ご飯食べないの?」とよく聞いてきます。その時も「まだ食べてないの?」と確認してきました。私の体調を心配してくれるんです。私がいろんな病気を患てきたことを知っています。
一番付き合いの長いベトナム女子
10年前に外国人技能実習生として来日した子です。3年間の実習期間を終え、その後結婚して日本に住んでいます。一番付き合いの長いベトナム人が彼女です。
技能実習生の頃から勉強熱心で、日本語がとても上手です。しっかり者でいつも明るい彼女は、技能実習生から慕われています。
彼女は私の様子をよく見ていて、心配して声を掛けてくれたんです。思い返してみると、昔から彼女たち技能実習生によく心配されていたんです。
彼女たちは私の表情をよく見ているんです。それは言葉が通じないからかもしれません。
10年前の話
「なんで寂しそうな顔をしてるの?」当時機械オペレーターをしていた私に、ベトナムから来た技能実習生がよくする質問でした。私は一瞬ギクリとして、自嘲めいた笑いをうかべ答えます。「生まれた時から…」
家族に受け入れられず自暴自棄だった私を、彼女たちは本能的に見抜いていたのです。
間もなく私は、彼女たちの管理を任されることになりました。工場には30人余りのベトナム人技能実習生がいて、その中に声を掛けてくれた彼女もいました。当時の技能実習生には特別な思いがあります。
年齢が近いこともあり、彼女たちとはすぐに仲良くなりました。彼女たちは通訳を通して、わたしの指示をよく聞いてくれました。真面目で団結力があり底抜けに明るい彼女達は、私の可愛い自慢の部下であり、心の支えでもありました。
仕事で苦しい立場に立たされたときには、彼女達の明るさに助けられました。振り返ってみると、私は歴代の技能実習生に助けられてきたんです。そして今回もまた助けられることになりました。
優しい言葉
彼女は「まだ食べてないの?」と聞いたあとに、「なんで寂しそうな顔をしているの?」と久しぶりに質問しました。私はドキッとして反射的に空元気でごまかします。本当は誰かに話を聞いて欲しかった、嬉しかったのに…。
彼女はそんな私の態度が気に入らなかったのか、むきになって次々に言葉をぶつけてきます。「声を掛けようか迷ったよ」「心配だから声を掛けたのに」「なんで何も言ってくれないの?」「長い付き合いでしょ?」「私にはなんでも言ってよ!」
私は感情が込み上げて、涙をこらえるので精一杯です。彼女も涙目になっていました。少し間を置いてから「声を掛けてくれてありがとう」と、しどろもどろで伝えます。彼女はいつもの笑顔にもどって言いました。「友達でしょ」
私は「友達」に恵まれているのかもしれません。辛くて苦しいときには、いつも優しい言葉が支えてくれます。友達がいないなんて言うのは、もうやめます。
我に返って
このやりとりの後、感動して仕事が手につきませんでした(笑)
そして可笑しくなりました。だってどちらが外国人なのかわかりません。ベトナム人の彼女の方が、日本語で上手に自分の気持ちを表現できるんです。私は自分の気持ちを表現するどころか、相手に嫌われることにいつも怯えています。
捨てるベトナム女子あれば拾うベトナム女子あり。私はまた彼女たちに助けられ、彼女たちから学ぶことになりました。(終)